fc2ブログ

積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

ネオ・ウルトラQ 第5話「言葉のない街」


 50年前に発明された人造人間エピゴノイドは人の心を透かし見ることができ、それ故に人を愛することができない。何故ならば、愛とは相手の「わからない部分」に惹かれることだから――。
 と、いうわけで第5話は言葉を話さない万能アンドロイド、エピゴノイドが登場。エ・ピ・ゴ・ノ・イ・ド、エ・ピ・ゴ・ノ・イ・ド(ゴーバスターズ風に)
 愛ってなんだ?と訊かれたら、ためらわないことさと答えてしまうのが特オタの性ですが、それはともかく措いといて。この話は放送前のあらすじを読んだ段階で特に期待していた話のひとつでした。相手の心を読める完璧な存在であるエピゴノイドの唯一の望みは、その完全さを捨てて人を愛することのできる不完全さを手に入れること。人は不完全だからこそ人を愛することができ、不完全だからこそ美しい。これはまた王道なテーマを選んできましたね。

 それにしても今回もまた、描きたいテーマのためにシチュエーションだけ作ってみせて、背景説明を完全に放棄してしまう『ネオ・ウルトラQ』の悪い癖が出てしまっています。SFにおいてこういった物語を持ち出す場合、エピゴノイドの存在にそれなりの説得性を持たせないといけないのに、作中でそれらが説明されることは一切ないのがどうにも納得いきません。
 この『ネオQ』は初代『ウルトラQ』と同じ世界のお話なので多少の飛躍は許されて良いと思います。しかし、いくら何でもいきなり「50年前に販売されたエピゴノイドが~」はおかしいでしょうよ。博士は当時の技術力で人造人間をどのように作ったのか、どうやって心を芽生えさせたのか、そうした疑問点にまったく触れずにただエピゴノイドという人造人間がいました、では雑すぎる。SFというのはテーマを語るために舞台設定、背景設定を組んで、そこで物語が展開されるから面白いのに、本作ではそういった設定部を単に哲学思想を語るための態の良いガジェットとしてしか捉えていない。これはさすがに本末転倒じゃないんですかね。

 サブタイトルにある「言葉のない街」にしたところで、人間の「言葉」は心の中で考えていることを伝達する手段としては比重にしてたったの7%でしかないとの事実を提示し、だからこそ完全な存在たるエピゴノイドには言葉が不要であるといった方程式を成り立たせているのに、番組後半になって普通に話し始めるので、わざわざ「言葉を喋らない」設定にした意味がまったくもって不明。結果、サブタイトルに込められた意図もあやふやになってしまっています。
 『ネオ・ウルトラQ』ももうすぐ半分。そろそろエンタメを重視したお話を見たいのですけど……。


スポンサーサイト



Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

04 | 2023/05 | 06
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析