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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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相棒 Season 11 第10話「猛き祈り」


★★★★☆

伊丹らは入院中の享に「まろく庵」の生方、坂口、榊らの写真を見せ、彼らが全員過去に犯罪での逮捕歴があることを説明する。そんな人間たちと享の間に何があったのか改めて質問するが、享はやはり「鈴の音」以外は思い出せないという。一方、右京は「まろく庵」周辺で聞き込みをする。近くの商店の女店主の話では、生方と行動をともにする真智子の父・伏木田はガンを患っていたが入院もせず、医師に往診してもらっていると聞いていたという。


 うわお、隅から隅までこれぞ『相棒』。まさか話の真相が即身仏だったとは。鈴の音はあからさまなヒントとして視聴者に与えられていたけれど、前篇で右京さんが物色していた部屋にあった竹筒も伏線だったんですね。完全にギャグシーンだと思って見落としていました。
 そして、平成の御代に即身仏という行為が受け入れられるのか、許されるのかどうかがひとつの焦点でもあるわけで。その身を投げ打ってまで人々を救いたいと願った“親父さん”含め、関係者一同の願いをすべて踏みにじっても「自殺幇助」を犯すことは許せない、と頑として曲げない右京さんが実にらしい。まろく庵の人々が全員土下座しているにも関わらず素知らぬ顔でいるドライさが兎角象徴的で、そこまでされても一切妥協しない右京さんのスタンスもまた、一種の気持ち悪さを持っているんですよね。前篇のラストでキョンが言っていた「あの杉下って人、怖いよ」はそれらの要素を集約していました。
 まぁ、あそこで土ワイ版で薫ちゃんみたいに「俺の相棒はどこだ!」的なキレ方をしても良かったようにも思いますが、相手がどんなに頼み込んでも素知らぬフリを通すところも右京さんの冷酷さ、残酷さが存分に滲んでいたかと。

 即身仏と化した“親父さん”がカイトの目の前に現れ、記憶を戻してあげつつも肝心なところだけすっぽり抜け落ちているといったオチは、普通ならばご都合主義の王道展開と一蹴されそうなものを、大体からして『相棒』の世界観は幽霊をいるものとして土壌を築いてきたため、これまたOK。過去にも浅倉やら裸の女やら出ていますしね。
 また、これまでカイト相棒は右京さんと性格真逆の亀山相棒タイプに見られていましたが、実は右京さんとカイトくんのふたりが根っこの部分で似た者同士であることも今回言及されています。いままでふわふわ状態だった伊丹のカイトくんに対する立ち位置もようやく決まり、大河的にはこれにてカイト相棒が本格的に立ち上がった気がします。
 次回は毎年恒例の元日スペシャル「アリス」。予告編とあらすじからして『ミレニアム』臭が半端ないです。去年のようにエンタメに振り切った作風ではないのに、ミステリを書けない太田愛に2時間半ものを任せるのは……。一抹の不安が残ります。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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