2012.11/10 [Sat]
映画『ウォッチメン』
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★★★★☆
ケネディ暗殺事件、ベトナム戦争、キューバ危機…。かつて世界で起きた数々の事件の陰で、<監視者>たちがいた。彼らは人々を見守ってきたヒーローであり、“ウォッチメン”と呼ばれていた。そして今、一人の男が暗殺されたことからすべては始まった。殺害現場に残された血が付いたスマイル・バッジ。殺されたのはかつてのウォッチメンだった……。その事件を不審に思い、真相をかぎ回りはじめた“顔の無い謎の男”。彼が事件を追いかけていく先々で、かつてのヒーローが次々と殺されていく……。 (2008年 アメリカ)
エロあり、グロあり、衝突ありのアメコミを原作にしたアンチヒーロー映画。本作における、スーパーヒーローたちはあくまでもコスプレをした自警団であり、最先端の科学力と桁外れの体力を武器として備えつつも、突然変異の産物であるドクター・マンハッタンを除くとすべて普通の人間です。
普通の人間だからこそ欲がある。己の信じた道を貫き通すため、憂さ晴らしに自己満足――。掲げる正義や主義主張、ヒーローをやっている理由も人それぞれで、そうした価値観のぶつかり合いが後半のキモとなってきます。
以前に西尾維新『悲鳴伝』のレビューでも触れましたが、私も長年特ヲタをやっているのでそれなりに“ヒーローの在り方”については考え、またその生き様も目にしてきました。そこで常に思うのが、アメリカ人の描くヒーロー像と日本人の抱くヒーロー像の違いです。
本作ではヒーローという理想の存在に対して人間としての肉付けを行うことで、アンチヒーローものとしてのスタンスを確立し、より生々しいドラマ展開に持っていくのですけれど、これを日本でやると『非公認戦隊アキバレンジャー』や『仮面ライダー龍騎』になる。ヒーローもののお約束をとことん崩して、既存のヒーロー像に異を唱えるところから始まったとしても、最終的には“人々を守りたい”という無償の自己犠牲精神に行き着きます。
一方、アメリカ映画はそうじゃない。アメリカにおけるヒーロー観は自己顕示欲と自己満足の上に成り立っているのです。多かれ少なかれ「セカイを救う俺」であり、またその勇姿を称える英雄譚が圧倒的に多い。
これは何もヒーローに限ったことではなく、一種の国民性と言うべきか。たとえば政治における押しの強さなんかもそうですよね。マスコミはすぐに弱腰外交だとか、リーダーシップに欠けるだとか言って批判しますが、何でも力押しでやれば良いってものでもないでしょう。私はむしろ、その前に出すぎない部分こそが日本人の美徳だと思いますね。
――て、映画の感想と全然関係のない話になってますけれど、ちょっとそんなことを考えてしまいました。
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