2012.11/01 [Thu]
相棒 Season 11 第4話「バーター」
★★★★★
航空会社NIA人事部の内藤が何者かに殺害された。NIAといえば、享の恋人でキャビンアテンダントの悦子の勤務先でもある。右京は以前、内藤が労働組合の中央委員長をしていたことに引っかかる。2年前の大量解雇や給与カットのときに組合の闘士だった内藤が、なぜ“敵”でもある人事部に異動になったのか……。右京はさっそく鑑識課で内藤の携帯電話をチェック。ほとんどが携帯電話の番号であるにもかかわらず、「AP佐久間」という人物だけは固定電話だ。「AP」とは何を意味するのか?
Season 11 初めての社会派回はさすがの櫻井脚本。一件の殺人事件から明らかになる、天下り先の交換トリックがなかなかに興味深く、法の目を掻い潜り、裁くことのできない“敵”を前に、特命のふたりはせいぜいかすり傷をつけることくらいしかできない。ここで潮を罰せずに終わるところが『相棒』の『相棒』らしさたる所以ですよね。
今回の功労者は潮役の石丸さんでしょう。石丸さんのクセのある演技が生む人物像は、決してリアルにはお目に掛かることがないであろういかにもキャラクターちっくなもななのだけど、だからこそ、その少々ふざけているようなノリが鼻につく。ここまで印象に残る敵役は久々です。
潮の言っていることもあながち間違いでないところがまた憎らしい。いまの天下り先を潰されたところで別の会社に天下るだけ、天下りそのものは悪ではない。悔しいけれど、一理あるのです。天下り自体は他者から見ればズルい行為ではある。が、しかしそれのどこがどう悪いのかというと、やはりこちらとしては論破し切れない部分があります。
そのやりようのない怒りと憤りが、そのまま潮というキャラクターに向けられるように作られている今回の話は、非常によく作られていたと思います。
天下り交換システムの考案者が甲斐次長だった、というどんでん返しも極まっていました。これまでの話では、甲斐パパは割合人の好さそうな印象で、このまま特命の後ろ盾になってくれるのかな?とさえ匂わせる部分があったのに、そこへこの結末です。
しかもこれが、甲斐次長が杉下右京の危険さを身を持って自覚させられるといった連続ドラマ的な展開にも関わってくる。Season 11 は本当に、シリーズ構成でもついたんじゃないかと感じさせるほどに横の繋がりをきちんと紡げています。スタッフの本気度が窺える今日この頃です。
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