2009.08/22 [Sat]
高里椎奈『虚空の王者 フェンネル大陸 偽王伝』
![]() | 虚空の王者 フェンネル大陸 偽王伝 (講談社ノベルス) 高里 椎奈 講談社 2005-06-07 売り上げランキング : 229182 Amazonで詳しく見る by G-Tools |
★★★☆☆
空を泳ぐ魚を見たことがあるか?
衝撃のソルド八世王誘拐から一月――王を捜すため入国したパラクレスでフェンベルクは思わぬものに遭遇す!!恐ろしいほどに王に似た男・クドラ、彼女を襲う女・ベルテ、隠れて建つ謎の研究所。この奇妙な謎と王の誘拐に関係はあるのか?そして命を狙われたフェンの運命は?
『フェンネル大陸 偽王伝』第3作。
と、同時に前巻から続いた「ソルド八世王編」の後編でもあります。
今回は長編『虚空の王者』+本編を補完するサイドストーリーの『ベルテ・リオールエンス』の2本立て。
この短編があることによって、残虐非道の放蕩息子と思われていた“虚空の王者”のその真意を、ぐっと理解できるようになり、物語には不可欠です。
さて。今回の旅は誘拐されたソルド八世王を捜す旅。鎖国の北国パラクレスへ入ったのも束の間、八世王と思しき男――クドラと用心棒の手によってテオは倒され、フェンは飼い犬が如く檻の中へ。また捕まっちゃいました。ほんと、毎回捕まってるなあ……
で、その明らかに八世王と思しきクドラが何故、王誘拐の張本人であるベルテに命令を下しているのかという謎を軸にして話が進んでいくわけです。
前巻で触れられた何気ない言葉が今回の伏線となっていたり、巧妙な“かまかけ”が行われたりして(最初、まったく気付かなかったよ……)、そのつくりに感心させられます。前作と今作は完全にセットなんですね。
というか、サチの行動がいまいちわからん。シルフィードと約束して王奪還に来たわりには、あんまりその目的を重視していないように見えるけど?本当の目的は人捜し――で合ってるの?
あとアシュレイがフェンを捜す行動を即起こさなかったことにいまいち納得できないかな。あそこで飛び出さなかったのは全滅を免れるためなのはわかったけれど。
『フェンネル大陸』のテイストである隠された「真実」は今回も健在でした。ソルドのこれから、パラクレスのこれから。不安と不穏に満ち満ちていますが、とにかく次巻に進むのみです。
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