2009.08/21 [Fri]
支倉凍砂『狼と香辛料』
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★★★☆☆
わっちはぬしと旅がしたい。ダメかや?
行商人ロレンスは、麦の束に埋もれ馬車の荷台で眠る少女を見つける。少女は狼の耳と尻尾を有した美しい娘で、自らを豊作を司る神ホロと名乗った。「わっちは神と呼ばれていたがよ。わっちゃあホロ以外の何者でもない」老獪な話術を巧みに操るホロに翻弄されるロレンス。しかし彼女が本当に豊穣の狼神なのか半信半疑ながらも、ホロと共に旅をすることを了承した。そんな二人旅に思いがけない儲け話が舞い込んでくる。近い将来、ある銀貨が値上がりするという噂。疑いながらもロレンスはその儲け話に乗るのだが――。
『狼と香辛料』第1作。
勝手なイメージですが、日本の小説ジャンルにおけるファンタジーの位置づけって、極めてライトノベルに近いものがあると思います。ならいっそのことそちらから探せば、面白いんじゃないの?と、角川の100冊である上に、たまたまテレビを点けたらやっていたアニメ版が少し面白そうだったので(結局すぐにチャンネル変えたんですけどw)、読んでみました。
オビには経済ファンタジーなんて銘打ってますけど、そんな堅苦しいことはなく、まぁ商人が主役のファンタジー世界の商い物語です。そこで必然的に為される商人同士の駆け引きは素人でぼんくらな読者(……。)でもわかるようにホロというクッションを置いて説明が加えられるし、儲け話から発展して小事件に巻き込まれる展開も「っぽい!」って感じです。こういう感じのを期待してたんですよね。政変に巻き込まれるのもファンタジーですが、こういう小事件を重ねていくのもまたファンタジーっぽくて良いです。 『フェンネル大陸』とはまた違った魅力があります。
個人的にはキャラっぽ過ぎるキャラクター(この表現、わかる人だけわかってください……)はあまり好みではないのですが、本作においてはキャラっぽさの象徴ともいうべきイヌミミや特徴的な喋り方も、“賢狼”という設定で単なる記号から逸脱できているように思います。
むしろ、ホロ可愛くない?とすっかり夢中ですよ。
文章的なことでいえば、支倉さん、擬音が案外独特なんですけど、それが魅力でもありました。逆に、地の文に「~するのだった」、「可愛い」の2つが多いのが気になった点ですね。
しかし既刊が12冊……がんばろ。
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