2012.09/28 [Fri]
ジェフリー・ブラウン『ダース・ヴェイダーとルーク(4才)』
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★★★☆☆
"もしも、ダース・ヴェイダーが子育てに積極的だったなら"。シスの暗黒卿ダース・ヴェイダーは、反乱同盟軍の英雄たちと戦うべく、銀河帝国軍を率いる。だが、そのまえに、まず4歳の息子、ルーク・スカイウォーカーと 遊んでやる必要がある……。ダース・ヴェイダー(父)&ルーク・スカイウォーカー(息子4歳)、銀河の彼方で繰り広げる父と息子の日常ストーリー。
パパとして子育てに奮闘するヴェイダー卿と4才のルークの日常を描いた、いま話題のSW絵本。訳者は安心安定、お馴染みの富永晶子さんです。
いやー、まさか本作がここまでヒットするとは思っていませんでした。何せ、近所にある流行本しか置いてないような小さな本屋でさえ置いてますからね。スピンオフ小説があまりにも売れず、新作も出ないという衰退の一途を辿るばかりの現状において、SW書籍がここまでの脚光を浴びていることは大変喜ばしいです。
この勢いに便乗して小説の1冊でも出してやれば、コーナー的にも一緒に置かれたりして少しは知名度・関心度も高まると思うのですが、まあ何というか毎度のことながらタイミングを逸しています。そもそも、3D版『EP1』公開時に新作スピンオフを刊行しなかったのはどう考えても致命的で、映画館の物販コーナーで竹書房文庫の『偽りの仮面』や『ダース・モール 闇の狩人』がちゃっかりと並んでいる中、ここ数年に渡ってスピンオフを出してきたエフエックスの「エ」の字も見当たらないという、ね……。
せっかくファン層を広げるチャンスだというのに、これじゃあダメでしょう。3D版『EP2』『EP3』が2ヶ月連続公開されることがアナウンスされ、単純計算で“売り出し期間”が1年減ってしまったいま、この5年間が勝負なのです。今回を逃したら、いつ始まるとも知れぬ海外ドラマ版の開始を待つしかないんですから。
――と、愚痴はさて措き。
本書は絵本といっても基本的には1コママンガに近い構成で、不器用なヴェイダー卿が無邪気なルーク(4才)に振り回される様にクスリとしつつ、もしかしたらこんな世界があったのかもしれない、と想いを馳せずにはいられません。ヴェイダー卿の愛情表現の下手な部分はアナキンの頃からまったく変わっていないため、突飛な設定ながらも、読み手としては自然と受け入れられるようになっているのもポイントです。
子育てエピソードにさらっと映画本編のセリフや舞台、キャラクターネタを交ぜるのも忘れません。ヴェイダー卿に付いてきたルーク(4才)が騒がしくするのを見てイライラを募らせる皇帝なんか、癇癪持ちのアナキンに始終痺れを切らしていた正史と大して変わっておらず、それが妙に笑えます。
もはや恒例となったジャージャーいじりもしっかり入っています。何もこんな絵本でまで批判しなくても良いのに。アメリカ人の『EP1』嫌い、ジャージャー嫌いはほんと徹底していますね。
ラストはほっこり、ハートフル。シュールすぎる第一印象に反して、これがなかなかの感動作です。
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