2012.09/26 [Wed]
映画『レポゼッション・メン』
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★★★☆☆
巨大企業ユニオン社が製造する高価な人工臓器によって、人類はかつてない長寿を得ていた。しかし人工臓器のローン返済が不可能になると、「レポゼッション・メン(レポメン)」が容赦なくその臓器を回収(レポ)する。レポメンのレミーはある日、取り立てに失敗し重傷を負った。そして、人工臓器を体に埋め込まれてしまい……。 (2010年 アメリカ)
人工臓器の回収人を主人公にしたジュード・ロウ主演のSFアクション。生きた人間から直接臓器を抉り取る設定だけあって描写がかなり痛々しい。肝心の臓器自体は金属製のため視覚的にはさほどグロくはありませんが、バトルシーンでは容赦なく鮮血が飛び散り、生きた人間の体内に手を突っ込むような作品なので、血を見るのが苦手な人は避けた方が賢明です。
実はこの映画、決して観ていて退屈するようなものではないのですけれど、巷での評判はあまり芳しくありません。それなりに伏線を張っているとはいえ、最終的なオチもありがちっちゃありがちです。
何よりもマズいのが、全体を通して説明不足な感が否めないこと。本作は人工臓器取り立てが合法的に許されている世界を描いているわけですが、そもそもの問題としてレポ行為がユニオン社側にどれだけメリットになっているのかがまったく伝わってきません。別段、人工臓器が特別珍しい金属で構成されているのでもなく、スラムの住人すらも違法で移植されているくらいには流通もしている。
そうした状況下にあって、レポが見せしめ以上の意味を持っているようにはどうあっても見えないのです。だとすると、膨大な回収業務そのものがまず人件費のムダですし、たとえそこをクリアしたとしても、人間の命を奪うことが法律で認められる理由がどこにも見当たらない。正直、世界観の構築に失敗しているとしか言いようがありません。
おまけに、主人公は自分が臓器移植を受ける身となって初めて命の尊さに気付き、いままで淡々とこなしてきたレポ業務に及べなくなってしまいます。その癖、自分たちを追ってくる人間は容赦なく血祭りに上げ、ユニオン社にまで乗り込んで多くの邪魔者を排除していきます。ここも感情の在り方としてよくわからない。
人を殺せないから追われているのに、追ってくる人間は皆殺しというのは、いくらなんでもちぐはぐすぎるでしょう。
アクションものとしては飽きずに観られますが、その他の部分でもう少し頑張ってほしかったです。
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