2012.09/23 [Sun]
マンガ総評:梧桐柾木『AKB48殺人事件』
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★★★☆☆
AKB48のCM撮影現場でチーム4の加藤玲奈が何者かに殺害された。捜査に乗り出したのは、探偵・前田敦子! 容疑者は87人!! 孤島に閉じ込めれたAKB48の運命は!? 全1巻。
AKB48の卒業を直前に控えた(劇中時間で)前田敦子を探偵役に据えた、青山剛昌原作のミステリマンガ。AKBを題材にしたマンガはいくつかありますが、既に少年誌では『少年マガジン』の『AKB49 ~恋愛禁止条例~』という神がかり的傑作がある中でどういったアプローチで挑んでくるのかと思っていたら、これは予想の斜め上でしたね。
嵐の孤島にクローズドサークルといった常套シチューエションに加え、探偵・前田敦子が膨大な容疑者の中から犯人候補を絞りつつ、それと同時に策を弄して罠を仕掛けていく展開は素直に面白い。ロジックも意外としっかりしていて、ミステリ好きもしっかり楽しめるツボを押さえた作品になっています。
各登場人物も見た目は勿論のこと、マンガっぽくデフォルメされながらも“本人らしさ”を失わない絶妙な匙加減で、それぞれに魅力ある“キャラ”として立っているところも好印象。第1話の扉絵でメンバーが著名な名探偵のコスプレをしているのに、まゆゆだけがなぜかミルキィホームズなのには笑いました。
ストーリーの中核に前田敦子卒業を絡ませるやり方も巧いし、ダイイングメッセージにこれでもかとAKBネタを盛り込んでいるところにも、他の誰でもなくAKBをモチーフにした意義が感じられます。
唯一、気になったのは、事件発生段階で容疑者リストと各人のパーソナルデータが完全には上がってこないため、ガチで推理を行おうと意気込む読者には多少不親切な設計になっている点でしょうか。欲をいえば、『ネギま!』のクラス名簿やアニメ版『金田一少年の事件簿』の容疑者一覧のようなものがあると尚良かったです。
それはそれとしても、個人的には満足出来。クラブサンデーあたりで『名探偵・前田敦子』をやってくれても全然構わないですよ?
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