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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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ドラマ総評:『仮面ライダーフォーゼ』

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★★☆☆☆
天ノ川学園に通う高校生・歌星賢吾は登校中に女子高生からラブレターを受け取るが、読まずに捨てる。そこに通りがかったリーゼント&短ランのバッドボーイ、それをすごい剣幕で叱りつける。バッドボーイの名は如月弦太朗。2年B組の転校生だった。弦太朗は、学校の生徒全員と友達になると宣言。まず、気にいらない賢吾と友達になると言うが、「俺と君が友人になる確率はゼロだ」と言い放つ賢吾。この二人の出会いが、宇宙の力で戦う仮面ライダー「フォーゼ」を生む。運命のスイッチは押された!


「平成仮面ライダー」第13作。
 『W』『OOO/オーズ』に続く“平成ライダー第二世代”の3作目は「学園と地球の自由と平和を守る」仮面ライダー部が活躍する学園ドラマ×宇宙モノという異色作。主人公が短ランにリーゼントの高校生、宇宙服とロケットをモチーフにした白いライダー、と放送前からとにかく話題になった作品です。
 メイン監督には『ウルトラ銀河伝説』『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』での活躍も記憶に新しい坂本浩一、脚本には『天元突破グレンラガン』の中島かずきを起用し、これはもう期待しない方がムリな最高の布陣であり、パイロットである第1話を観たときには平成ライダー史上最高傑作になるんじゃないかと思ったほどの面白さでした。しかしながら、回を重ねるにつれて段々と良くない部分が増え始め、最終的には『ディケイド』、『カブト』に次ぐ下位作になってしまったというのが正直な感想です。

 『フォーゼ』最大の敗因はキャラクターの掘り下げ不足と縦糸の弱さに尽きます。塚田プロデューサーは当初、「仮面ライダー部の存在は宇宙飛行士と地上スタッフとの関係と同じで、変身して闘うのは弦太朗ひとりだけど、それを支える仲間がいるから初めてライダーとして闘える」ことを表現したかったと述べていますが、実際には劇中でバックアップとして動いているのはダイザー要員のキング、分析担当の賢吾、あとはせいぜい情報通のJKくらいのもので、女子3人は賑やかし以上の役割を担っていません。
 さらには部活モノにしたことでメインキャラクターが弦ちゃん、ユウキ、賢吾、キング、クイーン、JK、友子(+流星)の8人、と通常よりも多くなっているのですけれど、その大人数をまったく捌き切れていないのも問題です。そもそも群像劇である以上、物語を通してそれぞれの成長を描くことが必須なわけで。本来ならば今日はユウキ回、来週は友子回といったふうに、頻繁に各キャラにスポットを当てた話作りをする「戦隊」方式が最も合っているハズなのです。なのに本作の場合、ゾディーアーツの変身者を天高生にしてしまったことで物語の比重がゲストキャラ>メインキャラにならざるを得ない。結果として、各キャラの掘り下げに割けた時間をゲストに持っていかれているんですね。

 しかも製作側がライダー部をひとつの個体として動かしているきらいがあり、たとえばJKと友子の1年生コンビだとか、賢吾からユウキへの恋愛フラグだとか、そういった個々人間で密度の異なる関係性というものがまったくできていません。もっと言っちゃえば、流星と友子の間で恋愛描写を作るなら、メテオの正体を友子にだけ先行バレさせちゃっても良かったし、そうした情報の共有/非共有から生まれる葛藤や、相手に抱く感情の違いがもっと物語に生かせたら良かったのに、と思ってしまいます。
 キングとクイーンにしても同様で、高校の部活動といった掛け替えのない“青春”をテーマにしている以上、卒業は避けて通れない道です。人は成長し、過去には戻れない。3年生が卒業したら今度は残ったメンツだけで学校を守っていかなければならない。そうした状況の中で人は変わってゆく。それが群像劇というものでしょう。現状の“ライダー部”人気を壊したくなくて卒業生を残すなんて言語道断、彼らはプロム回できっぱりフェードアウトさせて、さっさとランとハルを新入部員として迎えるべきでした。

 これらの構成面の弱さはキャラクターだけに留まらず、ザ・ホールやコアスイッチとは何ぞや?といった設定の疑問から、理事長の目的、ホロスコープス側にライダー部の存在がどれだけ知られているのか、また彼らはそれをどう考えているのか等々、細部が徹底的に甘い。特に設定に関しては何でも秘密にすれば視聴者を引っ張れるというものでもなくて、序盤から打つべきときに布石を打ってこないと最後の最後で何じゃこりゃ、となってしまう。今回、最終決戦に突入してもクライマックス感がまったくなかったのは、序盤からのこうした線としての積み上げ作業が皆無であり、物語を点でしか捉えていなかったからです。
 弦ちゃんの友達観の薄っぺらさも大概で、ゾディアーツ化した生徒たちを更生させて友達になるという展開は別に良いのです。でも、友達になった生徒が事件以降殆ど登場しないため、友達になった感がゼロで、結局は口だけ「俺とおまえはダチだ!」と言っているだけなんじゃないの、と感じさせます。これも製作陣がもうちょっと気を付けて、弦ちゃんと過去に友達になったゲストを廊下で立ち話させてやるだけでも、随分と印象が変わったんじゃないかなぁ。

 逆に良かった点としては、“過去の仮面ライダーが都市伝説として存在する”ことを世界観として再定義したことです。これによって、いままで劇場版と本編でのリンクがあった平成ライダー第二世代が同一の世界観にあることだけでなく、逆説的に『オーズ』の1000回記念が“正史”であることも証明してみせました。
 本当はこの辺りは『ディケイド』がやっておくべき仕事だったんですけどね。『ディケイド』のラストで「すべての並行世界が崩壊してひとつになった」とでもしておけばスムーズだったものを、アレはぶち壊すだけぶち壊して後始末ナシの全放置。『ディケイド』以降、悪い意味で世界観についての拘りがなくなり、もう共演しても別に良くね?となったのが「仮面ライダー」。世界観の違う作品を完全同居させるために『超ウルトラ8兄弟』、『ウルトラギャラクシー』、『ウルトラ銀河伝説』、『ベリアル銀河伝説』とSF設定を突き詰めて『ウルトラマンサーガ』を実現させた「ウルトラ」とは対照的です(そして、一般大衆はそこまで小難しい設定確立には興味がないどころか、むしろ敬遠対象という……)

 それはともかく。『フォーゼ』の感想をひと言でいえば、「とにかく粗雑でツメが甘い」。ノリが良ければすべて良しではちょっとダメなんじゃないの、という感じでした。
 来週からの『仮面ライダーウィザード』には期待しています。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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