2012.08/19 [Sun]
高里椎奈『バラトルムの功罪 天青国方神伝』
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★★★☆☆
否定するだけじゃ駄目なんだよ。古い事にも意味はある。
考えて、理解した上で壊さなければ進化にならない。慣習が確立される前の思考段階に戻る退化だ。
天青国の暗部に触れ、叛逆者となった15歳の“元”士官候補生イオン。真の敵を見極めたいと始めた「邪神」探しの旅は、水神を祀る部族が暮らす港町へ。一族の秘密を教えてもらう代わりに領主と交わした契約は何と「海賊退治」! イオンは海賊退治にはありえない者達を仲間にする突飛な作戦で行動開始!滑り出し上々、だが思わぬ落とし穴が!?
「天青国方神伝」第2作。
んんー? 結局、タイトルの「バラトルム」が何を指しているのか、いまいちわからなかったのですが……。前巻の「アケローン」もはっきりとしないし、これは後々の展開への布石なのでしょうか。それとも単なる読み落とし?
天青国の真実と邪神伝説を探る旅に出たイオンは、とある海辺の街にて海賊退治を任されることに。シリーズも2巻目ということで段々と「フェンネル大陸」との違いが明確になってきました。
大陸を股に掛けた英雄譚に比べると些か規模の小さい本シリーズですが、そのぶんシリアスの比重が大きくなっています。従来までの高里ファンタジーならば必ず生きているであろう人間に、必ずしも幸福な結末が待っているとは限らないし、人智を超えた魔術的な存在として邪神が存在している。
登場人物の殆どが基本的に善人、というコンセプトはおそらく変わっていないのだろうけれど、救えないものは救えない。メリロット家の悲劇が根底にあるだけに、その見せ方が明らかに違ってきています。これは良い意味で予想を裏切ってくれましたね。
新たな仲間も加わり、引き続き楽しませてくれそうです。というか、あの蜥蜴は確実に邪神ですよね?
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