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積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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映画『劇場版 NARUTO-ナルト- ブラッド・プリズン』

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★★★☆☆
おめぇの目にはもう痛みは映らねぇのか
おめぇの耳にはもうおめぇの名前を呼ぶ声は聞こえねぇのか
おめぇの心にはもう誰かを守りたいって気持ちも、
悲しいときに慰めてくれた一杯のラーメンの思い出もねぇのか

いわれなき罪により囚われたナルトは、脱獄不可能の監獄、鬼灯城に送られる。城主の無為により忍の力を奪われたナルトに、近づく謎の囚人たち。草隠れの暗部・竜舌、いわくありげな忍・マロイ……果たして、ヤツラの目的は? 無実を主張するナルトは脱獄を繰り返すが、何者かに命を狙われる! (2011年 日本)


劇場版「NARUTO-ナルト-」第8作。
 地上波で放送があったので録画視聴。普段、『NARUTO-ナルト-』はマンガでしか読んでいないのですけど、前年の『ザ・ロストタワー』同様、昨年の『ブラッド・プリズン』もあらすじが面白そうだったので観てみました。ジャンプアニメの劇場版といえば、大概アニメオリジナル編並みの酷い内容なのですが、今回は珍しい“原作付き”。JUMP j BOOKSから刊行されたこのミス大賞出身作家・東山彰良によるオリジナルノベライズ、『NARUTO-ナルト- 鬼燈の城〈ブラッド・プリズン〉』の映画化になります。
 そんな布陣もあってか、映画スタッフの“これまで違うことをやろう”という気概はびしばしと伝わってきて、全体として賑やかな面は極力抑えられ、シリアスで重ためなストーリー重視に仕上がっていました。心なしか作画というかキャラデザも従来のアニメ版のものとは変えてきているように感じました。

 ナルト自身にとっての里とは何かというアイデンティティへの言及、極楽の匣を開けるために息子の命すらも捧げた無為の心情、竜舌と無垢の親友以上恋人未満な微妙な関係から生まれるクライマックスでのとある種明かし――。決してハッピーエンドではないし、観終わった後にすかっと爽快というふうにはならない。しんみりとした哀切なラストで〆められる物語は、いわゆる少年向けアニメ作品の劇場版としてどうなのかという意見も勿論あるとは思いますが、私はこの本気度とチャレンジ精神を大いに評したいです。
 魅力的すぎる設定を用意しておきながら、シナリオのグダグダさですべてを台無しにしてしまった『ザ・ロストタワー』の反省を生かした小説家の脚本起用。これが見事に功を奏していました。『ONE PIECE』や『BLEACH』に続き原作者完全監修に踏み切った今年の『ROAD TO NINJA –NARUTO THE MOVIE-』といい、お客を楽しませるために常に新しいことに挑んでいこうとする姿勢は素晴らしいです。

 とはいえ、これが原作の世界観から離れたまったく別物なのかといえば決してそんなことはなくて、作品を通じて描かれているどうにもならなかったが故の悲劇性はまさしく『NARUTO-ナルト-』本来が持っているものだし、竜舌や無垢、無為らのゲストキャラクターで話を回しつつ親子のドラマに帰結させるところも原作最大のテーマであり、脚本を務めた東山さんがいかに『NARUTO-ナルト-』を理解し、噛み砕いて創作しているのかがよくわかります。
 絶体絶命のピンチにビーと木ノ葉の忍たちが総出で駆け付けるのも、映画らしいスペシャルな演出で盛り上がる。まあ、綱手があんなに簡単にナルトを監獄送りにするわけがないので、このあたりはわりかし“読める”演出だったりもするのですが。それにしてもテンテンさんのCV、田村ゆかりだったのね。意外なところでゆかりんの声が聴けて嬉しかったです。



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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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