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積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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ジュード・ワトソン『スター・ウォーズ ジェダイ・クエスト(6) シャドー・トラップ』

[ジェダイ・クエスト-6] シャドー・トラップ (LUCAS BOOKS)[ジェダイ・クエスト-6] シャドー・トラップ (LUCAS BOOKS)
ジュード・ワトソン 西村和子

オークラ出版 2008-02-06
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★★★☆☆
おまえは選ばれたのかもしれぬ。しかし、なにに選ばれたのか?
その答えは、おまえが自分で見つけなければならん

指導者学校での任務以降、アナキン・スカイウォーカーはマスターであるオビ=ワン・ケノービとの間にきずなを感じられなくなっていた。そんなとき、アナキンはヴィジョンに悩まされるようになり、オビ=ワンに相談を持ちかける。しかし、オビ=ワンの答えは、アナキンの望むものではなかった。そのヴィジョンが見せたものは、マスター・ヤドルの任務に関係があると言われたのだ。ぎくしゃくした気持ちのまま、ヤドルをサポートするために任務地のマワンへと旅立ったが、そこで爆発に巻きこまれたアナキンは、敵の手に落ちてしまい――。


「ジェダイ・クエスト」第6作。
 ついに明らかになる宿敵・グランタ・オメガの素顔。表紙のイラストだと『スター・トレック(ST11)』でカーク船長を演じたクリス・パインに妙に似ているのですが。これはまさか、噂に聞くSWファンとトレッキーの仲の悪さを象徴して……!?
 それはともかく、オメガの正体はクワイ=ガンのかつての弟子、ザナトスの忘れ形見であったと。オークラ出版が「ラスト・オブ・ジェダイ」を頓挫させてしまったいま、「Jedi Apprentice」は未訳のままですが、これまでの「ジェダイ・クエスト」の訳者あとがきでそのストーリーについては結構触れられていたため、読んでいて取り立てて不自由に思うことはありませんでした。西村さんの女性目線なエッセイ風の訳者あとがきは、プロフェショナルな高貴さんの解説とはまた違った魅力があって好きです。

 今巻最大のトピックは、何を措いてもまずはヤドルの死でしょう。数世紀もの間、地下に囚われていながら決して平静を失わなかったというヤドルの逸話は、ジェダイ修行生のみならずスピンオフ読者にも知れ渡っている有名なエピソードです。そんな生ける伝説であり、ジェダイ評議会のメンバーとして映画にも登場している大物ジェダイをここで殺してしまうとは。フォース感応者でもないのに、著名なジェダイ・マスターすらも葬り去ってしまうグランタ・オメガの力には慄きますね。シス信者、恐るべし。

 そして、ヤドルの死をきっかけにいよいよ崩壊してしまうオビ=ワンとアナキンの師弟関係。抽象的なアドバイスで煙に巻こうとするのはヨーダやオビ=ワンの悪い癖です。今回の場合は悪夢のようなヴィジョンを見たことで、アナキンも相当に追い詰められていたこともあり、その役に立たなさが不安と不信を増大させることになっていく。
 しかし視点を変えれば、オビ=ワンもまた『EP1』で唐突にマスターを失い、覚悟もできないまま半ば強制的に“選ばれし者”の師となることを余儀なくされた身なのです。だからこそ、クワイ=ガンが自分にしてくれたようにアナキンを導けないことに人一倍不甲斐なさを感じ、常に迷ってきた。師としてのオビ=ワンの未熟さはいわば、当然の流れなのです。
 イベントのインパクトのわりにはサスペンス的な盛り上がりに欠けるところもありますが、心情部分でなかなかに読ませてくれます。

 『偽りの仮面』で女性らしい喋り方だったヤドルが、今回はヨーダ同様に老人然としていたのは少し残念。訳者や出版社が異なるので仕方ないとはいえ、ひとりのキャラクターである以上、できれば訳文のよってブレが生まれないよう、細かいところまで調整してほしかったです。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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