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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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高里椎奈『アケローンの邪神 天青国方神伝』

アケローンの邪神 天青国方神伝 (講談社ノベルス)アケローンの邪神 天青国方神伝 (講談社ノベルス)
高里 椎奈

講談社 2012-03-07
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★★★☆☆
皆の為、正義の為などと嘯く輩は最も信用出来ぬよ
常識を語ることこそ常識を外れた行為。そして、正義を振り翳す者ほど己の価値観を他人に押し付ける

南方の島国・天青国に王の命を狙う不穏な動きあり。警戒を強める中、王城に火の手があがった! 15歳の士官候補生イオンが黒煙の先に見たのは剣を交える謎の二人――国の崩壊を狙う少年アルフレド。そして、暗殺者として生きる少女リッカ。三人の邂逅が国の運命を思わぬ方向へと変える。


「天青国方神伝」第1作。
 メフィスト賞作家・高里椎奈による新作ファンタジーシリーズです。今度の舞台は邪神と勇者の言い伝えが残る天青国。新たな主人公を迎えて紡がれる古の物語は、やはりそう単純な道程になるわけがなく、忠誠を誓った生まれ故郷が偽りの上に成り立っていた事実を知るという波乱の幕開けからスタートします。騎士団の士官候補生としてのアイデンティティを否定され、目の前に広がる惨すぎる戦と血生臭い政紛。信頼する兄に裏切れられ、一夜にして王族から奴隷へと転落してしまったフェンほど心に傷は残らないとはいえ、国の秘密に触れたことでこれまで生きてきた道を根底から覆さてしまう本作も、なかなかにシビアな展開です。

 そんな本シリーズにはフェンやテオのカメオ出演を始めとして、「フェンネル大陸」にリンクする要素がところどころに見られます。というかメインキャラクターのひとり、アルフレドは『草原の勇者』のアスターの子供だし、主人公のイオンも「フェンネル大陸」の某キャラクターの息子なのです。
 それどころか、本作のメインとなる事件そのものが『天球儀白話』の「アスターとジェラルダス」を下敷きにしているなど、実質的には「フェンネル大陸」第3部といって良いほど密接に関わってきます。何の気なしにここから読み始めた人は作品世界をより深く理解するためにも、まずは「フェンネル大陸 偽王伝」の方からどうぞ。
 しかし、裏表紙のリッカが妙に男っぽい容姿だなぁと思ったら男の娘だったのね。さすがは新しき古の物語。キャラ設定がイマドキです。


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Comment

高里椎奈さんならマチガイナイ 

ファンタジーでともだちから進められて高里さんの作品を
読んで以来、結構はまってます。
キャラ設定も、おっしゃるとおり
>さすがは新しき古の物語。
ですね。そこらへんの細かいところが、よみやすさ、かな。
「深山木薬店説話集」も文庫化されたので、ちょっと手を出しやすく
なりましたし。

そうそう、青柳さんの記事にあったコメントのサイト、
高里さんのことも書いてありますね・・・、
というか今日updateですか。
http://www.birthday-energy.co.jp
  • posted by ネヴィル 
  • URL 
  • 2012.09/27 18:22分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

高里さんは何気に根強い人気がありますよね。
私は「フェンネル大陸」の装丁の美しさに惹かれて手に取ったクチなので、ファンタジーものしか読んでいないのですが、メフィスト賞ファンとしていつかは「薬屋探偵」も読んでみたいと思っています。

ただ、既刊の量が……積読家にはちょっと辛かったり。
  • posted by はろーすみす 
  • URL 
  • 2012.09/28 01:06分 
  • [Edit]
  • [Res]

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プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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