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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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山口芳宏『蒼志馬博士の不可思議な犯罪』

蒼志馬博士の不可思議な犯罪 (創元推理文庫)蒼志馬博士の不可思議な犯罪 (創元推理文庫)
山口 芳宏

東京創元社 2011-06-11
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★★★☆☆
蒼志馬博士は、
かつて軍に依頼されて数々の軍事技術を極秘に研究していたと言われている天才科学者だ。

今にして思えば、私・殿島の事務所の隣に住む綾子が姿を消したことが、事件の発端だった。姿を消す前に、米軍接収地でトラブルに巻き込まれていた彼女。同時期、米軍には蒼志馬博士を名乗る人物からの脅迫状が届いていた――。博士が開発したという驚異の殺人兵器の謎に、眉目秀麗な探偵・荒城、義手探偵・真野原が挑む。


『大冒険』シリーズ 第3作。
 戦後の間もなくの時代を舞台に、学生服に近未来的な義手を備えた変人探偵・真野原玄志郎と白スーツの肉体派探偵・荒城咲之助が活躍する『大冒険』シリーズの番外編という位置付けの連作短編集です。
 収録されているのは「殺人光線の謎」「灼熱細菌の謎」「洗脳兵器の謎」「強化人間の謎」の全4編。謎解き要素よりも冒険活劇の色合いが濃い本シリーズらしく、技術的な制約を取っ払って登場するオーバーテクノロジーの数々が、同じく戦後の時代を描いたアニメ『二十面相の娘』によく似ています。
 というよりも、ここで描かれる物語はもう、まるまんま江戸川乱歩の「少年探偵」シリーズの延長線上なテイストです。荒城探偵ばんざーい! 真野原探偵ばんざーい! で〆めてしまっても、おかしくない。

 ミステリ部分に関しては、正直なところ期待値以下のものが多いです。かなりムリくりで思わせぶりに煽っておいてから明かされる「強化人間の謎」の真相などは、はっきり言って肩すかしも良いところ。ミステリ読みがキレても仕方ないかもしれないレベルです。見るべき点としては「灼熱細菌の謎」が唯一、面白い伏線の張り方をしていて驚かせてくれるくらいでしょうか。
 けれど、それはさておいて一般エンタメとしては抜群に面白い。もはや、真野原のシリーズは祖父・孫問わず、ミステリだとか本格だとかの「枠」に拘らず、純粋に冒険譚を楽しんだ者勝ちだと思います。
――って、殿島がヘイスティングズしているのはわかるのですが、前作『豪華客船エリス号の大冒険』のヒロイン・紗世子についてまったくフォローがないじゃないですか!! ちょっと楽しみにしていたのに……。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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