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積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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水生大海『転校クラブ 人魚のいた夏』

転校クラブ 人魚のいた夏転校クラブ 人魚のいた夏
水生 大海

原書房 2012-03-22
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★★★☆☆
早川理14歳。お父さんの仕事の関係で転校ばかりしている。そんなあたしにとって“転校クラブ”は情報ツールであり愚痴の吐き出し口だったりする。今度の学校は海と遊園地の近くっていうのがポイントだけど、転校早々、別人と間違われてクラスのシカトにあった。――「事件」はもう始まっていたんだ。


 福ミス出身作家・水生大海による、実に水生大海らしいミステリです。一見すると爽やか青春モノで、表紙もそれらしく可愛くポップで明るいのですが、その裏にあるのは人の悪意と計略と下心。軽い気分で読み始めたこちらの心を全力で抉ってイヤな気分にさせてくれるのは、もはや立派に水生大海の作風です。
 主人公の理も元気っ娘というよりは無邪気さを装っていた方が動きやすいから演じている、といった感じで結構鼻につきます。この妙にリアルな人間の描かれようがあまり得意ではありませんでした。その上、後味の悪いざらついた終わり方なのも好きじゃないんだよなぁ。

 それはともかく、ミステリとして見ると日常パートと事件パートの配分がやや悪いです。メインとなる謎はパルケ・マニャーナにおける誘拐事件と過去に起きた美佐姫父の事故死の真相のふたつになるのですが、あらすじもあらすじで詳しい内容まで触れていないし、大きな事件が発生するまでに相当掛かるので、本作がガチの事件モノなのか、はたまた日常の謎なのかが読んでいてまるでわからない。いざ、事件に突入するといっきに物語が進んでいくので、これは売り方というよりもバランスの問題でしょう。
 最終的なオチはこの手の形式では常道なので、もうひと捻り加えるか、或いはストレートにハッピーエンドでも良かったように思います。


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プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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