2012.06/16 [Sat]
マシュー・ストーヴァー 『スター・ウォーズ 破砕点(下)』
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★★★★☆
ジェダイ・カウンシルのメンバーとしては――そのとおり、許すことはできない。
きみのマスターとしても、許さないだろう。だが、友人としてなら――
友人としてなら、デパ、わたしはすべてを許すことができる。もうそうしているよ
消息を絶った弟子のデパ・ビラバを探し、真相を突き止めるため、生まれ故郷であるハルウン・コルに赴いたメイス・ウィンドゥが目にしたのは、終わることのない悲惨な戦いの現実だった。現地のゲリラ組織と接触し、危険なジャングルの奥へと足を踏み入れたメイスは、カリスマ的なシャーマンにして指導者、カー・ヴァスターに出会う。そしてついに、ヴァスターと行動を共にするデパと再会するが、彼女は変わり果てた姿となっていた……。
「クローン大戦ノベル」第1作。
お待たせしました、下巻です。デパと再会してさぁ、一緒にコルサントに戻りましょう、となるハズもなく。それなりに収まるべきところに収まっているのに、まったく救われません。
戦争の中にあり、いつも以上にフォースが乱れる時期であるからこそ“正しいジェダイであること”に拘り続けるメイス。ジェダイとしての正しさが戦争のきっかけを作ってしまうのであれば、その道を捨てることも厭わないデパ。ここでのメイスの選択は『フォース・アンリーシュド ダース・ヴェイダーの弟子』におけるギャレンの選択と一緒で、一度ジェダイとしての道を外れてしまうといくら一時的に勝利したように見えても、ミイラ取りがミイラになってしまう恐れがある。後のアナキンのケースは言うに及ばずです。
だからといってジェダイの教義などという、言ってみれば自己満足以外の何ものでもないような代物のために、全銀河を止められた戦争の中に叩き落として良いかといえば、そんなことはない。両者の主張はどちらも尤もで、片方が誤っているとは一概に言い切れないものがあります。
結果としてデパは苦悩の末、目的達成のためならば人を殺すことも厭わないところまできてしまったわけですが、それでもデパが間違っていると思えないのは、他の闇堕ちジェダイたちとは違って、彼女がダーク・サイドに転向してしまったようにはどうあっても見えないからです。どちらかというと壊れてしまった、といった感じでしょうか。
そして疲弊したデパの行く末もまた悲劇的であり、心に突き刺さるラストとなっています。特に映画でのメイスの最期を思い起こすと、かなり居た堪れない気分になりました。
それはそうと、『CW』でダース・モールを復活させたりして好き勝手にやっている昨今のEU界隈の状況を鑑みるに、デパの出番もこれで終わりとは思えないんですよね。最悪のケースとしてアナキンVSデパとか、平気で作ってきて台無しにしそうだから怖いです。
ちなみに本書には一兵卒のトルーパーを主人公にした短編「エクイップメント」も収録されています。続刊の『セスタスの偽り』がトルーパーにスポットを当てた小説であることを考えると、上手い橋渡しの仕方ですね。とはいえ、クローン戦争初期のトルーパーたちは人間味も薄く、はっきりいってかなり不穏な気配を漂わせています。
見方によっては、この短編は『EP3』のオーダー66への布石になっているのかも。こうなってくると「Republic Commando」も読みたくなってくるんだよなぁ。高貴さん、なんとかなりませんかね?
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