fc2ブログ

積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

西尾維新『小説版 めだかボックス(下) 朳理知戯のおしとやかな面従または椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト』

小説版 めだかボックス (下) 朳理知戯のおしとやかな面従または椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト (JUMP j BOOKS)小説版 めだかボックス (下) 朳理知戯のおしとやかな面従または椋枝閾の杯盤狼藉マニフェスト (JUMP j BOOKS)
西尾 維新 暁月 あきら

集英社 2012-06-04
売り上げランキング : 207291

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★★☆
なんていうか、真面目に相手をすれば真面目に相手をするほど、ペースに嵌まっていく感じといいますか
――現象で言えば、あいつの前では誰もが自滅していくというのが、僕の感じた事実です。

エピソード「第0箱」後編! 箱庭学園第98代生徒会選挙に出馬した黒神めだか。彼女の当選を阻止するため、箱庭学園教師陣が暗躍する。JC1巻へとつながる“めだか前日譚”が今、明らかに!!


「小説版 めだかボックス」下巻。
 上巻同様、めまぐるしい展開だったり劇的なバトルアクションだったりというものからは掛け離れた内容で、あくまでも箱庭学園教師陣と生徒たちとの駆け引きがメインです。下巻からのキーパーソンとしては不知火半袖と意外や意外、大刀洗選挙管理委員長が登場。マンガ版ではあの球磨川でさえ震え上がらせる底知れなさを見せる大刀洗斬子さんだけあって、オールジョーカーばりの存在感を見せつけてくれます。敵に回すと怖ろしいとは、まさにこのことですね。

 今巻で最も戦慄を覚えたのはミニコーナー「黒神めだかの私の尊敬すべき先生がた③」における「その生き方はロボット三原則的にいつかは破綻する。だから私が破綻させてあげておいた」の二文。何の悪びれもなく、平気でこういうことを言えてしまうあたりが、黒神めだかの“やばさ”です。
 相も変わらず無自覚にナメきった態度で教師たちを精神的に追い詰め、善人面して徹底的に叩きのめす。しかしながら、何故かそれが結果的にめだかへの利という形で戻ってきてしまう。それが、どんな相手でも取り込んでしまうめだかの才であり、主人公たる素質なのです。ジャンプマンガの昨日の敵は今日の友的王道を西尾維新的なアプローチで攻めると、こういった解釈になっていくわけか。

 マンガ本編が生徒会長・黒神めだかであることから始まっている以上、箱庭学園の教師たちに勝ち目がないことはわかっています。言うまでもなく、本作では上巻の久々原滅私、啝ノ浦さなぎに続いて朳理知戯もめだかの前にその価値観をぶち壊されることになり、椋枝閾に至っては闘う前に完全な敗北を喫します。
 それでも、そんな化物じみた女子高生を、誰よりも敵視し、敵対していたハズの椋枝閾が大人として、ひとりの教師として、導いてやるシーンが素晴らしく良かったです。上巻で啝ノ浦さなぎがはぐらかしに「どんなに化物じみていても、ひとりの高校生には変わりない」というようなことを述べていましたが、まさしくそれが真理なんですよね。
 見方によってはそれは教師たちが、めだかに取り込まれてしまったと見えなくもありませんが、むしろこれが本来あるべきカタチでしょう。『新本格魔法少女りすか』のキズタカなんかにも、こうした大人との対話が必要だと思うんだ。

 最後の最後の良い場面で平戸ロイヤルネタを本当に入れてきた西尾維新、さすがっす! てか、めだかちゃんの前の席だったのか。
 〆め方もなるほど、と感じさせるものがあり、“めだかボックス”の前日譚として、満足いく出来栄えのノベライズでした。


スポンサーサイト



Comment

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

02 | 2023/03 | 04
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析