2012.05/25 [Fri]
田中芳樹『水妖日にご用心 薬師寺涼子の怪奇事件簿』
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★★★☆☆
泉田クンへのゴホウビは……まあ必要ないか。
昨晩、ダイナソー・キングダムで前渡ししておいたことだしね
南アジア某国の王子様が来日した。ハンサムでスポーツマン、資産はじつに三兆ドル。日本中の女性が大さわぎする中、マンガしか読まない外務大臣の頼みで、巨大テーマパークの貸し切り権を王子に譲った薬師寺涼子警視。そこで惨劇は起こった。人気キャラクター半魚姫に扮した美女に王子様がおそわれたのだ。テロリストの動機は王位をめぐる暗闘か、膨大な地下資源にからむ争いか、それとも復讐か?雷鳴とどろき、豪雨が東京を水没させる中、警視庁の破壊美神・涼子が忠臣・泉田準一郎を従えて暗殺者を追う。
「薬師寺涼子の怪奇事件簿」第8作。
今回の敵は人の皮を被ったワニ人間、ゴユダ。またしても登場する喋る系の怪物に、そろそろ食傷気味です。シリーズ初期のバラエティに富んだモンスターのチョイスがなくなったことで、終盤の展開がいつも同じに思えてくるのですけど、そのあたりのマンネリさとネタ切れ感が5年間も新刊が出なかった一因だったりするのでしょうか。
お由紀がお涼の暴走行為を進んで支持したり、事故とはいえお涼と泉田君のキスシーンがあったりとキャラクターの動きを見ているとそろそろ終わりが近そうではありますね。それにしても泉田君の鈍感レベルはラノベ主人公も顔負けですね。いくら事故とはいえ、キスまでされて気付かないとか、さすがにムリがありすぎる。
著者のディズニーランド嫌いには辟易させられました。どんだけ不満があるんだよ、と。私自身は特にディズニー大好き!といった人間ではないのに、それでも読んでいて不快に感じるほどディズニーを批判してきます。エンタメ小説のキャラクターの口を借りて作者の主張を語らせる、という手法はあまり好きではないです。
それでもキャラクター性だけでそれなりに楽しめてしまうのが逆に困ったところではあるのですけど、『魔天楼』の頃を思うと、明らかに作品クオリティがダウンしているのが気になります。来月発売の新刊もこの調子だと、そろそろシリーズも潮時かもしれません。
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