2012.05/22 [Tue]
岩井恭平『サイハテの救世主 PAPERⅠ:破壊者』
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★★★☆☆
日本国の最南端、沖縄――沙藤葉はサイハテの地に降り立った。そこで出会ったのは隣に住む世話焼き美少女の濱門陸や、現地アイドルの照瑠など賑やかな近所の人々。彼女たちに対し「ぼくは天才だ!構うな!」と葉は主張するものの誰も信じずに、しぶしぶながらも楽しい生活を始める。だが未完成の論文“破壊者”が完成していた記憶を葉が取り戻した時、世界滅亡のシナリオが動き始める。葉は救世主となり、世界を救えるのか!?
「サイハテの救世主」第1作。
この、いかにも夏っぽい表紙イラストと褐色肌の女の子に惹かれて買ってしまいました。こうも的確に自分のウィークポイントを突いてくるとは……くそぅ。
天才であるが故に周囲から寄せられる絶大なる期待。その重責に耐え兼ねて、ある日ぽきりと折れてしまった少年の逃避と苦悩と奮起を描いたサスペンスです。葉が何らかの事情を抱えている訳アリなのは明白であるものの、彼の記憶の欠落の真相を物語上どういった方向に持っていくのかをはっきりと読者に覚らせないあたり、一筋縄ではいきません。
隠遁場所として沖縄を登場させたところも、南国ならではのおおらかさとゆるい雰囲気でストーリーにぴったり合っていました。ライトノベルはあまり読まないのでわからないのですけれど、こういった実在の場所を舞台にするケースは結構珍しいんじゃないでしょうか。それだけでも独自のカラーを持っている作品といえるかもしれません。
また、殺伐としたクライマックスに向かうにつれてヒロインの陸を初めとしたメインキャラクターの出番は減っていきますが、その場にいないことで“日常”を守るという葉の目的がより際立たせているのも、ラノベとしては面白い構成だと思います。
しかし天然で包容力もあって、なおかつ日に灼けて小麦色。なんという俺得ヒロイン!
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