2012.05/15 [Tue]
西尾維新『朗読活劇 刀語 第零話 虚刀・鑢 /第十二章』
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★★★☆☆
「ぼくはきみのことが大好きだった」
それが。娘に対する愛の言葉が。
反逆者、飛騨鷹比等の最期の科白であり、それを伝える者は誰もいないのだった。
「大乱の英雄」と呼ばれた、旧(ふる)き刀の物語!
原作者:西尾維新完全書き下ろしにより遂に語られる、虚刀流六代目・鑢六枝の真実!
第十二章は鑢七花役の細谷佳正が朗読を担当。
アニメ『刀語』第12巻の初回限定版DVD/BDに付属の特典CDに収録。
おはなしのくに~♪ な『刀語 第零話 虚刀・鑢』もこれにて終幕。終わってみれば思ったとおり、アニメ第1話の冒頭シーンに至るまでの物語でした。六枝の6人変幻など最後までその仕組みが明かされないままの要素もありますが、『刀語』全体を補完する物語としては充分その役割を果たせていたと思います。
最も大きな収穫は後半戦における飛騨鷹比等像の掘り下げです。『刀語』開始当初の七花や七実が何を考えているのかよくわからなかったように、この「第零話」でも鑢家の人々はその思考がはっきりとは掴めません。序盤は良心的な人間に見えた六枝も、終わりが近づくにつれて明らかに異質な存在に感じられてくる。この淡々とした心の持ちようが“刀”であるということなんでしょう。
対して、これまで嫌な奴、ヒール役でしかなかった飛騨鷹比等は物語が進むにつれて段々と人間味を増していく。最期の瞬間にとがめに自分の想いを伝えるシーンは、既出のエピソードにも関わらずぐっとくるものがありました。
一連の物語が共に旅する否定姫から七花への語り聞かせであったというオチも嬉しい。前日譚にして後日談、4時間半超えなのですべて聴くにはなかなか根気がいるとはいえ、ファン納得の一作です。できれば活字化してほしいなー
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