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300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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靖子靖史『そよかぜキャットナップ』

そよかぜキャットナップ (講談社BOX)そよかぜキャットナップ (講談社BOX)
靖子 靖史 TNSK

講談社 2012-04-03
売り上げランキング : 637516

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★★★☆☆
しかし、そうは許さぬ諸行無常。世の中は巡り彼女も変わる。星も巡って、しがらみ増える。
行方不明の愛猫マコトをめぐって、ひょんな流れで結成された「里山田園愛好会そよかぜ」。長谷川弘忠、小野啓太、玉井香織、三人のメンバーたちは、真夏の郷里で、ちいさな事件の「深み」に迷いこんでゆく――。


第10回講談社BOX新人賞Talents受賞作
 レーベル立ち上げ当初は講談社BOXクソ高い!などと文句を言っていたのに、書店に行くとわが愛する講談社ノベルスの隣に置いてあるものだからついつい新刊をチェックしてしまいます。それでこの表紙ですよ。空の青! ワンピースの白! 麦わら帽子の茶色! 夏好きとしてこれを読まずに何を読めと? ジャケ買い余裕でした。
 内容も期待を裏切らない夏らしさに溢れており、虫獲り、お祭り、セミの声。これぞ田舎の夏といった要素がてんこ盛りで、弘忠や啓太の一人称で綴られる地の文もくすりと笑わせてくれる楽しさがありました。
 キャラクター性とユーモアのある文体が両立されていて、結構時流な作品なんじゃないでしょうか。

 物語の軸となるのは黒猫マコトの失踪事件で、“ゆるミス”と銘打たれているとおりジャンル的には日常の謎に当たるのですが、内容云々はとりあえず措いといて実は本作、ちょっとミステリとしては如何とも判断し難いのです。
 というのも、オビに載せられている文芸評論家のコメントがあまりにもネタバレで、その文句を一度目にしてしまうとマコト失踪の真相と作品におけるキャラクター配置、果たすべき役割から話運びまですべてが見え透いた状態になってしまうという、およそミステリとしてはあり得ない売り方が為されています。
 いやさぁ、書評家のコメントが購入意欲を沸かせることは確かにあるかもしれない。でも、そこで作品のテーマを語るのはおかしいでしょうよ、と。私はこの『そよかぜキャットナップ』が面白かったですし、靖子さんが次の作品を出したらたぶん買います。だからこそ、もっと自然な形でこの作品を味わいたかった。

 叙述モノのミステリに“必ず二度読みたくなる!”とか“ラスト一行の衝撃”とか書くと売れるのわかります。けど、それってミステリの楽しさを殺すことになっていると思うんです。サプライズは不意打ちだからこそ効果を発揮するわけで、最初から予告されていたのでは意味がありません。
 商売と作品の質、どちらが重要なのかは一概に答えは出せないでしょう。最低限のモラルというか、踏み越えるべきでない一線を平気で無視するような売り出し方はやめてほしい。講談社BOX編集部は猛省すべし。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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