2012.04/21 [Sat]
アニメ総評:『ブラック★ロックシューター』
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★★☆☆☆
春。散り始めた桜の下で、2人の少女が出会う。ひとりは、黒衣マト――天真爛漫な笑顔の裏に、彼女自身すら気づいていない"想い"を抱えた少女。そしてもうひとりは、小鳥遊ヨミ――凛々しくも大人びた表情に、誰にも打ち明けられない"秘密"を隠した少女。時おり寂しげな顔を見せるヨミに、マトはなぜか心かき乱される。一方のヨミもまた、くるくると変わるマトの表情に吸い寄せられていく。まるで自分の欠けている部分を、相手のなかに見出したように引き寄せられていく2人。初めは遠慮がちに、でもいつしかしっかりと握られた手と手。運命の糸に導かれるように、マトとヨミは"絆"を結ぶ。だが、やがて明らかになる、ヨミの"秘密"。そしてマトが胸の奥に秘めていた"想い"。少女たちの心と心がぶつかりあい、叫び声を上げ始めるとき、世界は変わり始める。鋭く胸を刺す痛みとともに。誰も予想していなかった姿へと……。全8話。
録画していたものをようやっと全話視聴。
依存にヤンデレ、箍が外れた人間関係、無視にいじめに好奇の視線……と、観ていてかなり辛い描写の多い番組でした。私は基本的に小説にしろアニメにしろ幸せな物語を味わいたいタチなので、精神的に追い詰めてくるような作品はあまり好きではありません。
とはいえ本作のテーマは、傷付け合い、ぶつかり合うこともあるけれど、それが本当に相手と向き合うということで、そのことを自覚し、受け入れて「生きてゆく」というものなので、最後まで観るとそれらを抜きに語れない作品だとわかります。なので、その点には不満はないのです。むしろ、そういった“痛み”に真っ向から斬り込んだアニメとして最終話の落としどころは悪くないです。
問題はマトやヨミを取り巻く日常生活を描いた現実パートとブラック・ロックシューターらが闘い続ける精神世界パートの噛み合わなさです。第1話の段階から何の説明もなく唐突に挿入される精神世界パートは、それがマトの物語にとってどんな意味を持っているのかまったく語られず、ただただ戦闘が繰り広げられるだけ。しかも、このバトルというのが、どのキャラクターも無言のまま長い尺をとってひたすらに衝突するという代物。これがとにかく意味がわからない上に退屈極まりない。
製作者は物語なんてどうでも良くて、本当はこのバトル映像だけ見せたかったんじゃないかと思うほどです。『琉神マブヤー』で「戦闘中にゆんたくすんなや!」というセリフがありましたが、何でも良いからとにかく喋ってくれよ、と。ストーリーのない戦闘描写を延々と垂れ流されるのは結構拷問に近いものがあります。
せめて第2話までに何らかの説明は入れておくべき。全8話という短い作品の中で、精神世界と現実世界の関係性が明示されるのは第5話になってからでは、いくらなんでも遅すぎるでしょう。これなら、いっそのこと普通の魔法少女モノにしちゃった方がよっぽど良かったんじゃなかろうか。
謎は引っ張れば良いってわけじゃないんです。この構成がすべてをダメにしていると断言できるほどに酷かった。放送前から楽しみにしていたアニメだっただけに、本当に残念です。
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