2012.04/15 [Sun]
相沢沙呼『マツリカ・マジョルカ』
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★★★☆☆
柴犬、おいで。わたしの部屋に招いてあげる。
柴山祐希。学校に居場所を見つけられず、友だちもなく、冴えない学園生活をやり過ごす高校1年生。そんな彼の毎日が、学校近くの廃墟に住む女子高生マツリカとの出会いで一変した。「柴犬」と呼ばれパシリ扱いされる憤りと、クールな色香に昂る男子的モヤモヤ感との狭間で揺れながら、学園の謎を解明するために奔走する祐希。そうして彼の中で何かが変わり始めたとき、自らの秘密も明らかになる出来事が起こり?
私が密かにそのタイトルセンスに嫉妬している作家・相沢沙呼を初読みです。
魔女的Sっ娘・マツリカとヘタレ系男子・柴犬のふたりが身近で起きた事件の謎を追う実に角川らしい学園ミステリなのですけど、第1章「原始人ランナウェイ」がミステリと呼ぶにはあまりにもお粗末な出来で思わず投げそうになってしまいました。続く「幽鬼的テレスコープ」もいまいちで後半になってようやくそれなりに盛り返しを見せますが、純粋にミステリ要素に期待している人は読まぬが吉といったところです。
各篇に張られた伏線を回収していく「さよならメランコリア」が収録作の中ではベター(決してベストとは言えません)
文章にも相当クセがあり、太腿ミステリと称されるほどに妄想垂れ流しな柴犬によるむっつりスケベ的一人称を受け入れられるかどうかが読み手としては肝であり、これに馴れないと結構きついです。柴犬の弱き且つ変態ちっくな語りはどことなくネット小説ちっくなノリを感じました。
そんなわけでミステリとしては微妙な作品ではあるものの、学校というセカイからはぐれてしまった柴犬の成長劇という面ではきちんと物語しているし、着地すべきところに着地させているので読み物としてはアリです。次巻があるのであれば、今度はマツリカ側の救済になるのかな。
ただしあくまでもミステリ風味のキャラ小説の域を出ず、欲をいえばミステリ部分にもう少し力を入れてほしかったです。
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NoTitle
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。