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映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』

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★★☆☆☆
西暦2199年、突如侵攻してきた謎の敵・ガミラスによって、人類はその存亡の危機に瀕していた。人類の大半は死滅し、生き残ったものも地下生活を送っていた。ある日、地球へカプセルか落下してきた。それは惑星イスカンダルからの通信カプセルで、そこに行けば、放射能浄化装置があるという。人類最後の希望を乗せて、最後の宇宙戦艦“ヤマト”がイスカンダル目指して旅立つ。しかし、行く手にはガミラスの艦隊が待ち構えていた。 (2010年 日本)


地上波で放送があったので録画視聴。
 さすがに世間で言われているほど酷くはないだろう、と思って観てみたらわりかし酷かったです。
 私は父親が『ヤマト』の大ファンなこともあり、小学生の頃に劇場版は全部(最新作は除く)観たのですが、映画毎に死んだハズの人間が生き返るわ、前作がなかったことにされているわで作品のスタンスとしてはあまり好きではありません。
 そんな具合に元々がかなり緩く作られているシリーズなので、アニメの設定が改悪されてどうこうという指摘はこの場合、お門違いです。スターシャが出てこないのも、佐渡先生が女なのも、デスラー総統が精神寄生体ちっくな生物なことにも文句を言う資格はないし、言ってはいけないと思います。

 さて、この実写版『ヤマト』、映像クオリティは高いです。予算規模が大体からして違う洋画とはさすがに比べものになりませんが、日本の映画でここまでの画を見せられれば、充分満足できるレベルでしょう。ヒーローもの以外に大規模なSFが殆ど見られない現在の邦画業界において、本作の登場はかなり大きな意味を持っていたのではないかと感じます。それだけに、もうちょっと頑張ってほしかった……。
 まぁ私自身はアニメの実写化はどんな作品であってもするべきでないというのが持論なので、そもそもこの企画自体に否定的だったりするのですけど、それはひとまず措いといて。
 本作最大の失敗はテレビシリーズ2クールぶんの内容を2時間にブチ込んでしまった点ですよね。以前にドラマ『南極大陸』の感想を書いた際にも述べましたが、長い航海ありきの作品なのに目的地にあっという間に着いてしまうと、お手軽感がどうしても拭えなくなってしまいます。つまり、視聴者に対しても確かに1年近い年月を過ごしたんだな、と体感させるような演出をしなければならないのです。エピソードを見せるなり、テロップで表示するなり、はたまた背景の映像を細かに変えていくなり、とにかくそういったことをするべきで、本作ではその部分を怠っているためにイスカンダル近くね?的な感覚を観客側に与えてしまいます。
 尺を考えると難しいのはわかっています。十二分にわかっているんです。だからこそ、この手の作品を映画でやるべきではないのだと声を大にして言いたい。せめて1クールは必要だろう、と。

 加えて全体の盛り上がらなさ。ヤマトの凄さやワープの危険性なんかも観ていてまったく伝わってこないばかりか、すべての事象が淡々としすぎて臨場感に欠けます。沖田艦長なんて威厳の欠片も感じられない。
 そしてクライマックスにおいては邦画にありがちな最もやってはいけないパターンをやっちゃってくれます。そう、ロマンスシーンのためにサスペンスの進行が全停止するアレです。ガミラスがいまにも地球を攻撃しようとしているのに、あんな悠長に愛を語らっている場合じゃないんだよ! なんでガミラスは待ってやってるんだよ!!
 キムタクのキムタクらしさ全開な役柄についてはキムタクの責任というよりは、そういった使い方しかしないスタッフ側の責任でもあるので、取り立てて批判はしないつもりです。

――と、決して褒められた作品ではないのですけど、やはり一般向け邦画SFでこれだけのスケールを誇る作品を世に出した意義についてはもっと評価されて良いハズ。あとは脚本と演出さえなんとかなれば日本映画も変わってくるんじゃないかなぁ。これに懲りず、山崎貴には是非またチャレンジして頂きたい。『ジュブナイル』も『リターナー』も大好きな映画なので応援しています。


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はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

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