2011.12/13 [Tue]
三上延『ビブリア古書堂の事件手帖(2) ~栞子さんと謎めく日常~』
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★★★☆☆
わたしが言いたいのは、幸せになってねってこと。
わたしと付き合ってたことは、寄り道だと思えばいいんだから
……大輔くんが本当に好きな人とうまくいくように、わたし祈ってるから。
鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。その美しい女店主が帰ってきた。だが、入院以前とは勝手が違うよう。店内で古書と悪戦苦闘する無骨な青年の存在に、戸惑いつつもひそかに目を細めるのだった。変わらないことも一つある―それは持ち主の秘密を抱えて持ち込まれる本。まるで吸い寄せられるかのように舞い込んでくる古書には、人の秘密、そして想いがこもっている。青年とともに彼女はそれをあるときは鋭く、あるときは優しく紐解いていき――。
「ビブリア古書堂の事件手帖」第2作。
ジャンル外作家にして今年度本ミス第27位、『本格ミステリー・ワールド2012』“読者に勧める 黄金の本格ミステリー”選出の快挙を成し遂げた2011年のダークホース、「ビブリア古書堂」の第2巻。
前作で見られたような探偵小説らしさは薄れているものの、相変わらず謎解きのクオリティが高いです。第一話「アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』(ハヤカワNV文庫)」のスリップの件なんて普通は軽く読み流している部分だろうに、そういった部分にごくごく自然に伏線を仕込んでくるあたり“ミステリ作家として”の著者の実力は本物といえるでしょう。
作中に1巻の表紙イラストそのまんまの絵画を登場させ、このシリーズ自体が大輔=ワトスン役の書き綴った事件録という形式になっているのもミステリ心をくすぐります。
大ヒットを受けてめでたくシリーズ化も決まり、それに伴って栞子さんの母親の謎や結婚はしない宣言など今後を引っ張っていく要素も提示されましたが、無理に連続性を持たせる作劇にはせず、のんびりのほほんと続けていってくれても良かったのにな、と思わなくもなかったり。
読者カードのアンケート項目を見るとドラマ化も睨んでいそうな雰囲気ですね。どちらかといえばフジのノイタミナ枠でアニメ化する方が合っていそうな感じではありますけど。
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NoTitle
次はどんな本の話で、どんな人間関係が展開されていくのか楽しみです。
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