fc2ブログ

積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

Entries

アガサ・クリスティ『青列車の秘密』

青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)青列車の秘密 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
アガサ・クリスティー 青木 久恵

早川書房 2004-07-15
売り上げランキング : 207721

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

★★★☆☆
初めてお会いした時には、マドモアゼル、あなたは人生の傍観者でした。
観客席に寄りかかって劇を見ているような、静かで面白そうな表情を浮かべていらした

走行中の豪華列車“ブルー・トレイン”内で起きた陰惨な強盗殺人。警察は被害者の別居中の夫を逮捕した。必死に弁明する夫だが、妻の客室に入るところを目撃されているのだ。だが、偶然同じ列車に乗り合わせたことから、事件の調査を依頼されたポアロが示した犯人は意外な人物だった!


「エルキュール・ポアロ」第6作。
 最初にひとつ謝らせてください。前にアガサ・クリスティを月一で読んでやる!みたいな無謀な宣言をしてすみませんでした。およそ8ヶ月ぶり、今年2冊目の「エルキュール・ポアロ」です。だってクリスティ以外にも読みたい本がたくさんあるんだもん! ムリだもん!! 作家読みは苦手なんだもん!!!
――というわけで、これに懲りて30数冊のポアロものは年に数冊ずつ、何年も掛けてゆっくりちびちびと制覇していくことにします。ライフワークにします。

 今回ヒロインを務めるのはセント・メアリ・ミード村で老婆の世話係として長年勤め、彼女が亡くなった際にその莫大な遺産を継ぐことになった女性ミス・グレー。彼女が旅先で事件に遭い、掛け替えのないものに気付いていく物語です。殺人事件やポアロはフルで絡んでいるように見えても実際には添え物に過ぎません。
 事件関係者はワルと悪女と天衣無縫さが逆に迷惑な人ばかり。主役のミス・グレーにしても冷静に他人を分析し、本心を外に晒そうとしないどこか冷めた姿勢があまり好みではないです。ポアロおじさんのさんざんの忠告も聞かず、聡明な割に悪い男に惹かれていってしまうのもなんだかなぁ、という感じ。

 事件自体もそれほど力の入った作品ではなく、恐るべきことに肝心要の謎解きがたったの10ページで片付けられてしまいます。あまりにもあっさりとした解決編と拍子抜けするくらいストレートな真相でミステリとしてはかなり物足りない。
 それでもつまらないとまったく思わなかったのは、なんだかんだ言いつつもひとりの女性の成長物語としての『青列車の秘密』に強く惹かれたからです。ロマンスあり、スリルありのミス・グレーの冒険譚。クリスティの魅力は何も謎解き要素のみに限らず、まず最初に雰囲気作りの良さがあるのです。


スポンサーサイト



Comment

NoTitle 

はじめましてm(- -)mブクログのはろーすみすさんの「謎の未確認生物 UMAミステリー」の感想を読んでブログ、おじゃましました。

自分は久しぶりにこういう本を読んだので手放しでテンション上がってしまいましたが(笑)、はろーすみすさんの感想を読むと確かに納得。今度こういう本を読むときは「本当にいる!日本・世界の未知生物案内」を読んでみたいと思います。

自分も思い入れたっぷりに「謎の未確認生物 UMAミステリー」の感想書いてみました。よかったら読みにHP遊びに来てください♪
  • posted by だいすけ 
  • URL 
  • 2011.09/25 02:50分 
  • [Edit]
  • [Res]

 

だいすけさん、はじめまして。
ブクログのフォローありがとうございます。

ホームページ、覗かせて貰いました。
最近は超常現象番組もめっきり放送されなくなりましたね。私がUMAにハマったきっかけもテレビの特集(そのときはチュパカブラでした)だったので淋しい限りです。

『本当にいる~』は「日本・世界Ver.」と「日本Ver.」の2種類が出ていて、特に良かったのが日本版です。UMAをタイプ別に分けた中に“誤認・創作生物”という項目がちゃんとあるんです。500円のコンビニ本なのにここまで真面目に作ってあるのか!と。地図まで載っている凝りようには驚きます。
  • posted by はろーすみす 
  • URL 
  • 2011.09/25 21:22分 
  • [Edit]
  • [Res]

NoTitle 

はろーすみすさん、こちらこそお返事ありがとうございました^^

最近は超常現象の番組、ほんとにすっかりなくなってしまいましたよねぇ。あったとしても海外の番組の使い回しみたいなのだし…同じく寂しい限りですね。

「本当にいる日本の「未知生物」案内」、はろーすみすさんさんがここまで力説解説してくれたんだから是非読んでみたいですねぇ!地図まで載っているってことは自分の目でも見てみろってことなんでしょうか(笑)

はろーすみすさんの長過ぎず、でもしっかりとした内容と量の感想、自分はすごく好きです。またちょくちょく遊びに来ます♪
  • posted by だいすけ 
  • URL 
  • 2011.09/26 00:37分 
  • [Edit]
  • [Res]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

ご案内

プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
お気軽にどうぞ。

カレンダー

05 | 2023/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -

ただいまの積読本

現在:456冊                        目指すは未踏の500冊! 最新の15冊を表示。                 冊数をクリックするとすべての積読本を見られます。

ブログ内検索

作家別作品アーカイブ

過去の読書記録はこちらから。 作家名が五十音順に、それぞれシリーズごとに見られます。

評価について

★☆☆☆☆ 破り捨てたい衝動に ★★☆☆☆ うーん。これはびみょ(ry       ★★★☆☆ 普通に面白いです ★★★★☆ 一読の価値アリ ★★★★★ 殿堂入り                ★×4以上は自信を持ってオススメ  ★×5はとりあえず読んでほしい傑作

2014年のベスト5

2014年に読んだ小説の       (暫定)ベスト5はこれ!!

2012年のベスト5

2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

2011年のベスト5

2011年に読んだ小説の          ベスト5はこれ!!

1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

最近の記事

月別アーカイブ

ブロとも申請フォーム

アソシエイト

アクセス解析