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積読本は積読け!!

300冊の積読本もなんのその、本や映画の感想などをつらつらと述べてみたり。

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青柳碧人『浜村渚の計算ノート 3さつめ 浜村渚の水色コンパス』

浜村渚の計算ノート 3さつめ 浜村渚の水色コンパス (講談社Birth)浜村渚の計算ノート 3さつめ 浜村渚の水色コンパス (講談社Birth)
青柳 碧人 桐野 壱

講談社 2011-05-21
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★★★★☆
俺は、雪子が消えて、怖かった。そのまま雪子がいなくなってしまうことが。
そして一つの式を導き出した!
『sin(9°+ 360°× n)=sin9°』
ただし n は、これから俺と雪子が過ごす年月を表す、整数とする

その数学ソフトを使用した者はみな、ある信号を受信するとテロリストになってしまう。そんな脅威の洗脳プログラムに、警察もお手上げ。怪事件の解決はいつも、数学少女・浜村渚の頭脳に頼っていた。だが、ついに警察はワクチンプログラムを入手! 事件が収束に向かおうとしていたその時、現れたのは……。


新刊 キタ━━━━(゚∀゚)━━━━ !!!!!


「浜村渚の計算ノート」第3作。
 講談社Birth が頓挫してもまだまだ続きます、「浜村渚の計算ノート」。なんといっても今回の目玉は「「プラトン立体城」殺人事件」。ミステリ作家が遺した解答編のない小説を渚と武藤さんが解き明かす作中作ものですが――いくらなんでもこれは解けないだろ!
 前作の「わりきれなかった男」のさらに上を行く恐るべきミステリになっています。なんと本項では文章上の記述から正確な図を起こし、それを基にして謎を解くという作業が行われるのです。そう聞くとかなり小難しく思えますが必要な情報はちゃんとすべて作中作に書かれている。図さえ描けてしまえば計算自体もさほど難しくはなく、よほどの数学脳でなければ作図をしようなんて発想は生まれないとはいえ、そこに気付かないのはやはりこちらの注意力の問題です。
 推理過程が緻密すぎて逆にバカミス扱いされそうな代物であるとはいえ、これこそ本シリーズでしか成し得ない新しいミステリの魅せ方でしょう。あまりの精度に爆笑しちゃいましたけど(いや、良い意味で!)

 他にも今巻は秀作揃いで、論理をテーマに掲げた「クレタ島・嘘つき迷宮」では先入観を利用した言葉遊び的な意外性が見事に極まっているし、「アイシテルの正弦」は粋で素敵な恋愛ものであると同時に、セチの失恋話を三角関数の解説に応用していてこれが本当にわかりやすい。高校数学を三角関数で完全に投げた私でさえ理解できたのだから間違いないです。
 「武田斐三郎の街で」のどさんこFBIのキャラの濃さにやられ、キューティー・オイラーの相変わらずな言い回しに惚れます。渚の「とうぇる」発言もひどすぎるw

 もう、超がつくほど大満足でした。あとがきによるとシリーズはまだまだ続いていく模様。どうやら低年齢層の読者も獲得しているようでNHK教育あたりでアニメ化しても真剣にいけると思う。第1作は今月、文庫化もされています。未読の方はこの機会に手に取ってみては。


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Comment

積んでおくのはモッタイナイ 

『浜村渚の計算ノート』は、数学ニガテでも吸い寄せられてしまう
不思議な作品。さすが塾の先生です。

『判決はCMのあとで』という作品も最近出ましたね。
こっちは裁判をテレビ中継する、と言うちょっと変わった
はなし。こっちもなかなか面白かった!

青柳碧人さんの作品たちは、なかなか油断ならないですね。
心憎い演出が備わったかた、との分析記事も。
http://www.birthday-energy.co.jp/
他の作家さんや有名人の事も、索引から記事を探せるので、
不思議と読んでしまいます。・・・閑話休題。

今のところ3作目まで出てますが、今後も続いてほしい
シリーズですね~。
  • posted by 正克 
  • URL 
  • 2012.03/09 00:17分 
  • [Edit]
  • [Res]

どうにも読みたい本が多すぎて…… 

おお、『判決はCMのあとで』面白かったんですね!
私も近いうちに読みたいと思っていたので、楽しみです。

今日、本屋で見てみたら文庫版は既に7刷でした。

青柳さんは来月も『雨乞い部っ!』という作品を出すみたいで
知名度も徐々に上がってきて、ますます活躍が楽しみな作家さんです。
  • posted by はろーすみす 
  • URL 
  • 2012.03/10 00:08分 
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プロフィール

はろーすみす

Author:はろーすみす
シリーズものも平気で数年寝かせる積読家。本格ミステリとスター・ウォーズ小説を中心に読み漁り、新刊・話題作はあまり追っていません。

好きなミステリ作家は古野まほろ、はやみねかおる、西尾維新、霧舎巧。
ジャンル外では築山桂と小川一水。
講談社ノベルスをこよなく愛す特ヲタ。

当ブログはリンクフリーです。
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2012年に読んだ小説の        ベスト5はこれ!!

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1.トリプルプレイ助悪郎(2007年刊)   2.名探偵に薔薇を(1998年刊)             3.化物語(2006年刊)          4.時砂の王(2007年刊)                  5.天帝の愛でたまう孤島(2007年)

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