2009.05/12 [Tue]
二階堂黎人『地獄の奇術師』(2009年の読書感想 補完)
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★★★☆☆
よく憶えておけ。私の名は《奇術師》、地獄から来た奇術師だ――
十字架屋敷と呼ばれる実業家の邸宅に、ミイラのような男が出没した。顔中に包帯を巻いた、異様な恰好である。自らを「地獄の奇術師」と名乗り、復讐のためにこの実業家一族を皆殺しにすると予告をしたのだ。「地獄の奇術師」の目的は何なのか。女子高生で名探偵、二階堂蘭子の推理が冴え渡る。
二階堂蘭子シリーズ第1作。
犯人がいかにもな怪しい格好で現れたり、“地獄の奇術師”だなんて名前で呼ばれたりと、江戸川乱歩の少年探偵団的な雰囲気と「金田一少年」っぽさが漂ってます(もちろん、こちらの方が断然先なんですけどね)
冒頭から繰り広げられるミステリ小説論議は、正直注釈ナシだとついていけません。すみません、にわかでした。でも同時に、読者層の幅を限定しかねないなぁとも思ったり。のっけから、あれだけの注釈を必要とするミステリ論議は、のっけから一般読者を脱落させる危険性があるかと。まぁ作者としてはそういう読者には興味を持って貰わなくても結構なのかもしれないですけど。うーん。
古き良きミステリな感じが最初から最後まで包んでいて、とても90年代前半に書かれたとは思えない作品です(誉め言葉)
犯人は最初からメドがついてしまいますが、そんな全体の雰囲気を味わいながら読むのがベストだろうと思います。
て、か、いくらお偉いさんの親族だからって、高校生が当然のように現場に ……自重ww
これが古き良きミステリの力なのか――?
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