2009.12/01 [Tue]
ティモシイ・ザーン『ターミネーター4 廃墟から』
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★★★☆☆
チーフ。ターミネーターはこっちから攻撃しないかぎり無害だ、とあんたが思っているのはわかってる。
だが、それは間違いだ。
スカイネットが地球を支配しつつある未来。ジョン・コナー率いるレジスタンスは、仲間の強い結束で善戦するも小隊のため司令部からは冷遇される。一方、廃墟となったロサンゼルスで肩を寄せ合って生き延びる人々の中に、16歳のカイル・リースがいた。コナーが大胆な奇襲攻撃を計画したとき、人々はターミネーターたちによる殲滅戦にさらされようとしていた……。『ターミネーター4』直前の、コナーとリースの物語。
映画『ターミネーター4』の前哨戦にあたる作品で、本編を取り巻く世界観の理解と補完に最適な一篇。
映画版を見ただけではイマイチ理解しづらかった“審判の日”以後の世界観もコレを読めばだいたい把握できます。たとえば、一般人の中にはターミネーターを実際に目にしたことがある者は少なく(普通は殺される)、それ故にこちらから攻撃を仕掛けなければ自分たちは安全であると信じています。結果、率先してターミネーターを攻撃するレジスタンスを人々は煙たがっている。そういうわけなんですね。
同様に、映画でガソリンスタンドの人々が新鮮なミルクを持っていた理由なんかも推察できます。荒廃した台地を砂漠のキャラバンのごとく物々交換をして歩く人たちもいるようで、ヤギのミルクもそういった経緯で手に入れたのだと思われます。
また映画初見時は司令部基地が異様に立派で違和感を覚えたものですが、ターミネーター製造にも資源が掛かるため、ターミネーターの前哨基地を駆逐していけばそれなりのテリトリーは確保できるようです。或いは敵方の基地を奪うという方法もあるようで、あの立派な基地もそうやって手に入れたものだと考えると納得です。勿論、組織だった力のある司令部だからこそ出来た所業なのでしょうけど。
キャラクターではやはりカイルに注目です。映画では大した活躍もせず、ただただレジスタンスに憧れている青年を思わせたカイルでしたが、本小説では実践力も勇気もある若者として描かれ、スターを守りつつも果敢にターミネーターたちに挑みます。そうやって見ると、映画でもハンターキラーに捕まったときにやけに冷静だったなぁとか、作品の端々には“デキる”雰囲気は漂っていたんですよね。ただ如何せん、それを拾えなかった。で、このカイルとスター、ふたりはただの連れというよりは一心同体に近い関係だったようですが、その理由は語られず終いでした。
ジョンが人々を廃墟に住む人々を犠牲にして作戦を進めることを仲間に説得する一方で、その後自分自身を説得しなければならない、というところはさすがはリーダーというか。魅力的でした。
てか“ジョン”ではなく“コナー”表記に若干の違和感。
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