2013.05/06 [Mon]
東川篤哉『謎解きはディナーのあとで3』
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★★★☆☆
お嬢様、《たぶん~な気がする》程度の確証しかないのでしたら、
たぶん犯人は逮捕できないような気がいたしますよ
宝生邸に眠る秘宝が怪盗に狙われる? 体中から装飾品を奪われた女性の変死体発見? 続々と発生する難事件に、麗子ピンチ……。しかしながら「お嬢様は無駄にディナーをお召し上がりになっていらっしゃいます」影山の毒舌と推理は絶好調! そして、ラストシーンでは麗子と影山、風祭の3人の関係にも大きな変化が訪れて――!?
「謎解きはディナーのあとで」第3作。
本屋大賞受賞でお馴染み、庶民的なお嬢様と毒舌執事によるユーモアミステリ短編集です。基本的なフォーマットは既刊の2作と共通で、今回も6本の短編が収録されています。
いわゆる安楽椅子探偵モノは探偵役が犯罪現場へ赴かず、別の人物によって持ち込まれた話題をあれこれ推理していく都合上、物語の1本、1本に変化をつけ辛いのが難点だったりします。その傾向は本シリーズも例外ではなく、この巻で短編が通算18本目ともなると、さすがにマンネリに陥っている感が否めません。
「怪盗からの挑戦状でございます」はハウダニットに主眼を置いた怪盗モノという、シリーズ屈指の変わり種エピソードでしたが、盗んだ品の隠し場所に関する伏線が充分といえないため、謎解きの公平さの面ではイマイチすっきりしない。他の収録作でも一部に短編ゆえの“都合の良さ”が散見され、高水準な犯人当てが見どころだった1作目に比べ、ミステリ部分もかなり粗くなっている印象があります。
東川さん個人をベストセラー作家の地位に押し上げただけでなく、特にドラマ関連で昨今の本格ミステリブームの火付け役となった本シリーズ。下手に引き延ばしたりせずに、今回の結末を受けて綺麗に完結させるのも、ひとつの判断ではないでしょうか。
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NoTitle
執事が問題を解決するといういつもの展開ですが、毎回見事なストーリーです。
トラックバックさせていただきました。
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